ドン・ハットフィールドは現代の分野における最も新しいインプレッショニストである。だが、若干52才という若さのこの偉大な画家は、全くの偶然により絵の道を志すことになったのである。
ハットフィールドは大学でも神学を専攻しており、元来は聖職者として一生を送るつもりでいた。ところが大肖像画家のチャールズ・クロスとの出会いにより、彼は自分に内在する画家としての才を意識するようになった。クロスはハットフィールドの天性ともいえる色彩の感覚に感銘を受け、彼が絵画を追求する手助けを与えることにした。ハットフィールドが25才の時のことである。
それから10年の間、彼の心は画家と聖職者の間で揺れていた。しかし、シカゴのアート・インスティテュートで、ティエボロの壁画を目にした瞬間、彼の決意は固まった。"お前はアーティストだ。描かなければならない"この神的ともいえる衝撃的なメッセージを、体感すると同時に、彼は仕事を辞め、レイ・キンストラーとセルゲイ・ボンガードのもとで、新たに絵の勉強に打ち込んだ。現在見られる彼独自のスタイルは、この時期に確立されたものである。
優しさと美しさにあふれる彼の絵は、その主題と手法において古典的といえるものであっても、魅惑的な色彩のハーモニーによりかもしだされる豊かな情感に富んだその世界は、全く新しいものであるといえよう。ハットフィールドのこのスタイルは、美術界から大いなる賞賛をもって受け入れられた。先頃のアートエキスポ・ニューヨークにおいて好評を博したことからも、彼の作品が現在のみならず、後世にも残る高い質のものであることがうかがわれる。ハットフィールドの作品である美しいシルクスクリーンと油彩は、見るものの心を捉えて放さず、世界各国に熱心なコレクターが存在する。
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